院長あいさつ

専門性と機能特化で地域医療に貢献する
脳・脊髄領域専門病院として

長野県南部の飯田市にある当院は、昭和53年開設以来、脳・脊髄疾患における高度急性期治療を行う専門病院として、飯田下伊那地域(医療圏人口約17万人)の救急患者を受け入れてきました。

現在の病床数は66床で、年間約200件の手術を行っております。また、積極的に最新医療を取入れることで、地域医療水準の維持または向上する気概を常に持ちつつ、日々診療にあたっております。

急性期医療と脳卒中センター

当院の特色は、脳・脊髄外科領域における急性期治療への対応にあります。脳・脊髄疾患に関わるすべてに対応することを基本としており、中でも緊急性の高い脳卒中に対しては、24時間365日治療体制をとっております。また、病院到着後は、診断から治療に至るまで30分以内を原則とし、とりわけ脳梗塞治療においては超急性期治療に対応すべく、最新の血栓回収治療を積極的に行っております。

更に、より迅速・正確に対応するため、平成16年に脳卒中センターを開設しました。ここでは脳卒中診療ガイドラインに加え、AHA(American Heart Association:アメリカ心臓協会)のガイドラインに準じて治療を行っており、診断機器として最新機種の3.0テスラ MRIを導入していることが大きな特徴であります。現在、臨床用MRIの磁力は3.0テスラが最高であり、磁力が大きいほど、より短時間で多くの情報を得ることができるため、患者さんにとっても大きなメリットとなります。当院ではこれを日本で最初に導入し、日々、脳卒中診療に使用しております。

このような院内体制の整備に加え、脳卒中が疑われた時は、救急隊または近隣医療機関から当院専門医に直接電話連絡が可能な脳卒中ホットラインを開設しており、病院到着までの時間短縮にも力を注いでおります。

リハビリテーションの充実で早期離床を目指す

脳卒中センターにおいては、早期の診断・治療とともに、早期離床も重要な目標となります。そこで当院では、専門のスタッフを充実させ、可能な限り超急性期から土・日祝日休むことなく継続してリハビリテーションを実施することにより、早期離床及びより良い機能回復を目指しております。

また、週1回リハビリカンファレンスを開催します。カンファレンスには、回復期リハビリ病棟を持つ地域の病院スタッフにもご参加いただき、患者情報の共有化やお互いの情報交換により、急性期から回復期への切れ目のない治療を提供しております。

地域医療のために目指すこと

これからの脳卒中医療は、地域完結型医療を目指すことが重要であり、それが最終的に患者さんの利益につながると考えます。そのためには様々なプロセスにおいて密接な医療連携が必要になります。当院では、初期診療を行う医療機関と救急救命士に対し、積極的に脳卒中医療に関する啓蒙を行っております。具体的には、この連携は医療関係者が初めて患者さんと出会った時からスタートします。どのような状態の時に専門医のところへ搬送すれば良いか、判断に迷われる場合があります。私もそうですが、自分の専門外の救急患者さんを診るのは不安なものです。気軽に尋ねて欲しい、紹介して欲しい、そして適切な時期に処置できるよう、脳卒中患者を紹介しやすい環境づくりにも力を注いでおります。

はじめに述べたとおり、脳・脊髄疾患に関して、私たちの地域における医療水準を維持または向上していくことが当院の使命だと考えています。今後の脳卒中治療は血栓回収療法など新たな段階に移っていくと考えます。そうした医療の進歩に合わせて正しい知識と使い方を啓蒙し、地域で標準以上の医療を常に目指していきます。「専門性と機能特化で地域医療に貢献する脳・脊髄領域専門病院」、開院以来の理念を全職員の矜恃とし、地域医療に貢献させていただく所存であります。

瀬口脳神経外科病院 院長
瀬口 達也